現代備忘録(仮)

どこかの誰かにとってはきっと有益であろうと思われる記事を書いていきたいです。

理系院生の国家公務員採用試験受験および民間就職活動の記録(3/3)

前回、前々回に引き続く内容の記事です。
今回は、下記の7から9について述べます。

1.行政区分と技術区分
2.総合職採用と一般職採用
3.採用までのステップ(総合職・一般職)
4.基礎能力試験対策(総合職・一般職)
5.専門試験対策(総合職・一般職)
6.専門記述式試験対策(総合職)
7.官庁個別業務説明会
8.政策課題討議試験および人物試験
補足.民間企業におけるマッチング面談について
9.官庁訪問(総合職・一般職)

 

7.官庁個別業務説明会
 この項目では、一般職大卒についてのみ説明します。総合職については、一次二次の筆記が悪く完全に勝負を放棄していたので、説明会には参加していません。そのため詳細が分かりません。

 官庁個別業務説明会とは、各省庁等が、自分たちの職場にて独自に開催する業務説明会です。一次試験の合格発表の翌週くらいから始まります。基本的に電話予約が必要です。説明会とは言え、実質ほぼ選考の様なものです。誰が何を質問したかを記録され、目に留まった受験生には後日、電話にて二回目の説明会参加の誘いを出し、さらに優秀と見なされれば三回目...、という具合に受験生が絞られていくようです。省庁によっては、説明会開始前または終了時に、アンケートとして簡単な志望動機や自己PRを書かされるところもあるそうです。

 私も某局の業務説明会(という名の面接選考的なもの)に何度か参加しましたが、だいたい上記の様な流れでした。職員3人と受験生4人が向かい合い、一人ひとり順番に質問していく..といった、どこからどう見ても集団面接ですやんという「説明会」もありました。二回目、三回目になると、「当局としては貴方を高く評価しています。官庁訪問の際には、是非ウチに来て下さいね。」的なことを言ってくれます。一次試験合格発表直後、官庁訪問前から、既に戦いは始まっています。希望する省庁の説明会には絶対に参加しましょう。

 これとは別に、官庁合同業務説明会と言う人事院主催の説明会もあります。複数の省庁が一同に介し、簡単な業務説明を行ないます。こちらは一次試験の合格発表後すぐに開催されます。基本的に電話予約は不要です。複数の省庁の説明を同日に聞くことが出来ますし、アンケート等で「出席した」という足跡を残しておけば、後日電話にて説明会や官庁訪問のお誘いを貰える可能性もあります。

 選考的意味合いの無い軽めの説明会は、試験前年の秋冬頃から行われています。それらの説明会で話を聞く等して、どの省庁を希望するか、早い目に決めておきましょう。

 

8.政策課題討議試験および人物試験
 まず政策課題討議試験から説明します。政策課題討議試験は総合職院卒にのみ課され、人物試験と同日に行なわれます。4~6人くらいのグループで、ある社会課題等に対して国としてどのような施策を打つべきかをディスカッションし、グループとしての方針を纏める試験です。この説明では良く分からないので、自分が受けた際の経験談を書きます。

 特定を避けるため多少ぼかして書きますが、私の場合7月の中旬~下旬頃の某日午後に、某所にて受けました。試験開始30分くらい前に到着し、案内に従って住民票記載事項証明書(事前に市役所で手続きをする)やTOEICの成績表等を提出しました。試験開始時間になると、まず政策課題討議試験のテーマと問題文が書かれた数ページの問題用紙(一部英語)と、白紙の解答用紙を配られました。テーマは「地方創生」で、簡単に言えば「どうやって過疎地方を活性化すれば良いか考えよ」というものです。制限時間内に、解答用紙に箇条書きで自分の意見をまとめ、現状と対策、その対策を考えた理由を短く書きました。その後、解答用紙は回収されました。

 2~30分後、試験官3人と受験生4~6人毎に一つの部屋に入れられた後、自分を含めたグループ全員分の解答用紙のコピーが配られました。解答用紙に沿って一人ひとり自分の意見を述べた後、ディスカッションを行ない、共通の認識を確認したり、割れた意見を調整したりする等して、グループ全体としての意見をまとめました。試験の最後に一人ひとり口頭でディスカッションを経た上での意見と感想等を簡単に短く述べました。始めに主張した意見に固執せず、ディスカッションのフィードバックを上手く組み入れて意見を述べることが大事なように思いました。

 そのまた数十分後、人物試験を受けました。人物試験とは個人面接のことで、総合職一般職問わず必ず課されます。いずれも時間は確か20分程度で、面接官3人:受験生1人でした。事前に提出した面接カード(当項目内で後述します)に沿って、多少掘り下げた質問をされました。私の場合、国家公務員を志望したきっかけ、学生時代に力を入れたこと、後は趣味について聞かれました。圧迫感は全くなく、民間企業の面接よりずっと和やかでした。

 私はどちらかと言うと面接が苦手なタイプでしたが、民間企業で散々場数を踏んだおかげで落ち着いて受けることが出来ました。質問の掘り下げパターンや面接の流れについても、民間企業の人事面接と全く変わりありません。民間企業と並行している方なら、特に改まって「国家公務員向けの面接対策」などをする必要は無いと思います。

補足
 面接カードについて説明します。面接カードとは、いわゆるエントリーシート(ES)です。志望動機や自己PR、学生時代に力を入れたこと、趣味特技、志望省庁等を記入する用紙のことで、人物試験の数週間前から人事院の管理するHPでダウンロードすることが出来ます。印刷して手書きで記入しましょう。

 また人事院は数年前から「コンピテンシー」とやらを特に重視しているようです。例えば「学生時代は部活を頑張りました」と書くと、「なぜ部活を頑張ろうと思ったのか」「困難をどう乗り越えたか」「どんな力が付いたか」等が聞かれます。上記の様な質問を想定した上で、面接カードにもあらかじめ短く説明を書いている方が評価が高い、と就職課の職員さんが話していました。参考程度に。

 

補足.民間企業におけるマッチング面談について
 第一志望は民間企業だけど、いちおう国家公務員採用試験も受けておこうかな、という方に向けて書きます。2015年から就職活動の時期が後ろにずれ、経団連加盟企業の面接選考と国家公務員総合職の官庁訪問が全て8月上旬に集中し、日程がダダ被りすることになってしまいました。一見すると、民間企業と国家公務員総合職の併願が困難になったかのように見えますが、実際はそうでもありません。

 なぜなら、経団連加盟企業の多くは8月以前に実質的な選考を進めているからです。特に理工系の大学生・大学院生については、4~7月に「マッチング面談」なる面接的なものを実施し、面談をパスした学生を8月上旬の「面接」に呼び、形式的な面接を行なった後、内々定を出します。ちなみに私の仲間内で「面接」で落とされた人はいません。サンプルが少なすぎて頼りにならないかもしれませんが、おそらく実質的には4~7月で経団連加盟企業の選考はほぼ終わっています。従って、8月上旬は官庁訪問に集中出来ます。

 8月上旬の「面接」で民間企業から内々定が出ればそこで就職活動を終了し、落としたならば総合職の官庁訪問に切り替え、それでも駄目なら8月下旬に始まる一般職の官庁訪問に挑戦する、というふうにセーフテーネットを何重にも張っておく事も出来ます。

 

9.官庁訪問(総合職・一般職)
 官庁訪問は、各省庁等が実施する面接試験です。私は総合職の官庁訪問にしか参加していないので、総合職を中心に書きます。総合職の官庁訪問は第一クールから第四クールくらいまであり、各クールで2~4回程度の面接試験があります。それら全てのクールの面接試験を通過すると、内々定が貰えます。以下、経験談です。

 私の場合、官庁訪問第一クール初日にはどうしても外せない用事があり、官庁訪問第一クール二日目に第一希望の省庁を訪問しました。第一希望なら初日に行くのが当たり前だそうなので、既に分が悪い感がありました。また私は、まさか最終合格すると思っていなかったので、説明会等に全く参加していませんでした。その上、私は東大生でも京大生でもなく、さらに試験の席次(人事院から送られてくる合格通知のハガキに記載してあります)も良くありません。正直ほとんど勝算が無いと思っていましたが、せっかく霞ヶ関行きのチケットを手に入れたのだからと、半分社会見学の気持ちで第一志望だった某省を訪問することにしました。

 当日、初めての霞ヶ関でわくわくしました。高層ビル群を眺めながら、「この辺りのわずか半径1km内で日本が運営されているんだなあ」としみじみ感心しました。さて午前10時頃、庁舎に入り控え室に通されました。控え室には20人ほどの受験生がおり、特に堅苦しい風でもなく、皆談笑していました。民間企業の控え室より良い意味でずっと軽く、ゆるく、和やかな空気でした。

 面接の際には一人ずつ順番に呼ばれ、職員と共に別室へ移動します。私が訪問した某省は1:1の20分程度の面接でした。志望動機や学生時代のこと、休日の過ごし方、最近の政治経済等、質問内容は様々でした。面接が終わると控え室に戻り、二時間後くらいにまた呼ばれ、別の職員と面接をし...ということを4回ほど繰り返し、その内に日が暮れてしまいました。職員から「見込みが無い」と判断された受験生は、12時や16時に早々に帰らされていたようで、徐々に控え室の人数が少なくなっていきました。20時頃、控え室が遂に10人程になった頃、「荷物を持って来て下さい」と呼ばれ、別室で第一クール通過の旨を伝えられました。その場でフィードバックを受け、第二クール訪問の予約をした後、庁舎を出ました。

 初回訪問が二日目でも、説明会不参加でも、非東大京大で席次が低くても、通過することは出来ます。私は別に口が達者な訳でも、決して頭が切れる方でもないので、省に合った人材かとかそういう所を評価されたのかもしれません。その後、第二クール訪問予約日前に第一志望の民間企業から内々定をいただいたので、結局訪問は辞退させていただきました。もちろん、第二クールで何かをやらかして早々に落とされる可能性も大いにありましたが、訪問日や学歴等を重要視しない省庁もあるということを伝えたく、この様な書き方をしました。


まとめ
 理系でも、大学や大学院で学んだ専門を活かして技術系国家公務員になることが出来ます。特に一般職なら、文系枠よりも倍率が低く、意外と穴場です。大学で真面目に勉強しているのなら、予備校等に通う必要もありません。民間企業の就職活動も、特に難なく並行して進めることも出来ます。また一般職大卒の場合、内定後に院を最悪中途退学しても基本的には内定は取り消されず、たいていは通常通り採用されるようです。

 

以上です。参考になれば幸いです。