現代備忘録(仮)

どこかの誰かにとってはきっと有益であろうと思われる記事を書いていきたいです。

理系院生の国家公務員採用試験受験および民間就職活動の記録(1/3)

 理系の大学生および大学院生で、独学で、国家公務員採用試験の技術区分での受験を検討している方に向けて、この記事を書きます。

 技術系国家公務員の情報はとても少なく、私自身、就職活動の時期には情報収集諸々において大変苦労しました。「知らなかった」ことでチャンスを逃したこともあります。技術区分の受験を検討されている方ならもうお気付きかもしれませんが、試験勉強や面接対策よりもむしろ情報収集の方が難しく、意外と時間を食います。情報とは、過去の試験の内容や面接の形式、面接カード(ES的なもの)の書き方、説明会等予約の取り方についての知識と情報のことです。

 しかしながら、情報さえ収集できれば、後は意外と何とかなります。多くの文系の受験生のように予備校に通う必要もありません。なぜなら、技術区分は行政区分(主に文系の大学生が受ける区分)に比べて、倍率がグッと低いからです。

参考までに、平成27年度一般職大卒の場合、
行政区分受験申込者数30007人 → 最終合格者5137人 倍率5.84倍
技術区分受験申込者数 5633人 → 最終合格者2210人 倍率2.55倍
となっています[1]。

受験申込はしたが結局受験しない人、途中で辞退する人もいるので、実質平均点以上取ることが出来れば一般職大卒技術区分については合格出来ます※。とは言え、総合職は行政、技術共にそれなりに難しいです。

※化学系専攻の方のみ全く話が違います。[1]にて倍率を確認して見て下さい。

 

 私は平成27年度の国家公務員採用試験(総合職院卒および一般職大卒)の技術区分を受験し、両方に合格しました。2014年の10月頃から情報集めを開始し、2015年の8月上旬まで就職活動を行っていました。また同時並行で民間企業の就職活動も行い、最終的には民間企業の内々定を承諾しました。その中で知った事、および知っていると有益だと思われることを書いていきます。

留意点
 1.私の学力の参考までに、某国立大の理工系学部を出ています。
 2.以下の内容には、一部信憑性の低い伝聞や噂話も含まれています。
 3.試験日程は全て2015年度のものであり、年度によって多少前後します。

全体を通して参考程度に軽く読むくらいでお願いします。


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まずざっくり就職活動のスケジュールを書いてから、その後に番号付けをした項目の詳細を述べます。【国家】は国家公務員総合職・一般職関係、(民間)は民間企業関係、(研究)は大学院での研究活動関係の内容です。


===私の就職活動スケジュール===
2014年
 10月 【国家】人事院主催の国家公務員採用試験説明会で試験の詳細を知る
         →「1.行政区分と技術区分」へ
         →「2.総合職採用と一般職採用」へ
         →「3.採用までのステップ(総合職・一般職)
     【国家】基礎能力試験に向けて勉強を始める
         →「4.基礎能力試験対策(総合職・一般職)

 11月 (研究)中間研究報告会に向けて研究を行なう

 12月 (研究)研究がまとまらず毎夜泣く
         国家公務員採用試験の勉強を休止し、研究に専念する

2015年
  1月 【国家】人事院主催の技術区分受験者向けの国家公務員業務説明会にて
         省庁の採用担当者から直接、業務の詳細について説明を受ける

  2月 (研究)中間研究報告会をギリギリで乗り切る

  3月 【国家】専門試験に向けて勉強を始める
         →「5.専門試験対策(総合職・一般職)
     (民間)合同企業説明会や学内外の個別企業説明会に出席する

  4月 【国家】総合職試験および一般職試験にインターネットから申し込む

  5月 【国家】総合職試験の一次試験を受ける(24日日曜日)

  6月 【国家】一般職試験の一次試験を受ける(14日日曜日)
     【国家】総合職試験の二次試験を受ける(28日日曜日)
         →「6.専門記述式試験対策(総合職)」
     (民間)面接等でカレンダーが埋まり、多忙を極める

  7月 【国家】総合職・一般職の技術系メインの官庁業務説明会に出席する
         →「7.官庁個別業務説明会
     【国家】総合職の政策課題討議試験および人物試験を受ける
         →「8.政策課題討議試験および人物試験
     【国家】一般職の人物試験を受ける
     (民間)第一志望の経団連加盟企業においてマッチングが成立する
         →「補足.民間企業におけるマッチング面談について

  8月 【国家】霞が関にて、総合職の官庁訪問が始まる(5日~18日)
         →「9.官庁訪問(総合職・一般職)
     【国家】地方出先機関にて一般職の官庁訪問が始まる(20日~?日)
     (民間)第一志望の経団連加盟企業から内々定を頂き、これを承諾する
         就職活動を終了する
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1.行政区分と技術区分
 国家公務員採用試験には、大きく二つの受験区分があります。一つは行政区分で、主に法律や経済を学んだ学生が受験する区分です。入省後は「事務官」となります。もう一つは技術区分で、主に工学や理学、農学、薬学等を学んだ学生が受験する区分です。入省後は「技官」となります。技術区分は、電気電子情報区分、化学区分、土木区分等と細かく分かれており、自分の専攻に近い区分を選択することによって、大学で学んだ専門をほぼダイレクトに活かすことが出来ます。また法律や経済等からの出題はほとんどありません。

 もちろん理工系学部の学生であっても、法律や経済を勉強すれば行政区分で勝負することは出来ますが、技術区分より倍率が高い上、法律経済を専門で学んできた文系大学生と同じ土俵で戦うことになります。しかしながら入省・入庁後、事務官は技官よりも比較的早く、より高い位に昇進・出世出来るらしく(信憑性の無い噂です)、理工系でも法律経済を勉強して行政区分を受ける方も一部いるそうです。


2.総合職採用と一般職採用
 国家公務員には、総合職採用と一般職採用があります。総合職は院卒と大卒、一般職は大卒と高卒が対象です。

 総合職はいわゆる官僚やキャリアと呼ばれる人たちで、霞が関を拠点に2~4年(?)ごとに全国各地の関係部署を異動・転勤します。ちなみに霞が関勤務はもの凄く激務らしく、終電で帰ることが出来ないことも良くあるそうです。財務省(旧大蔵省)には、庁舎内に宿泊用のベッドを並べた部屋、通称「ホテルオークラ」なる一室があるという噂話を聞いたことがあります。

 一般職はいわゆるノンキャリアで、地方の出先機関が主な勤務地になります。技官の場合、勤務地は原則「全国」となっていますが、実際は各省庁によって全く異なります。全国転勤有と書いていながら、実際はほとんど転勤がない省庁や、そもそも部署が一か所しかないから転勤のしようがない機関もあります。説明会等でしっかり聞いておきましょう。

 なお、大学院生(修士)が一般職大卒枠で採用され、その翌年の春に修士号を取った場合、2年間の実務経験があるものとして給料に反映される場合があるそうです。つまりその場合、大学院卒(修士)の初任給は、大卒三年目の月給と等しくなります。また、大学院に在籍している場合、一般職大卒で内定を貰った後に大学院を中退しても特に問題はありません(採用担当には嫌な顔をされそうですが...)。なぜなら、大学院に在籍しているということは、既に大卒の資格を持っているということであり、一般職大卒の受験資格を満たしているからです。民間企業の院卒枠で内定を貰ってしまうと、修士号を落とすと通常は内定取り消しになってしまいますが、一般職大卒は通常通り採用されます。そのため毎年、大学院が辛くて辛くて仕方ない院生や、修士論文を書ける見込みが全く無い院生も、中退を見越して数多く受験しているとかいないとか...


理系院生の場合は「総合職院卒の技術区分」と「一般職大卒の技術区分」を併願、
理系学部生の場合「総合職大卒の技術区分」と「一般職大卒の技術区分」を併願する人が多いようです。


久しぶりに文章をたくさん(?)書いたので疲れました。
3.採用までのステップ(総合職・一般職)」以降は、次回および次々回の記事で述べます。


以上


[1]人事院 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/ippannsyoku/daisotsuteido_ippannsyoku/ippann_daisotu.html